街の灯の消えた夜,とある店頭がマッキントッシュでディスプレイをしていた。そのモニタには,フライングトースターがゆらゆらと,ゆらゆらと,飛び続ける。まるで,静かな夜にそこだけ,お伽話を,お祭り騒ぎを,繰り広げているように…。
11日にバークレイシステムズ社は,スクリーンセーバーソフト「アフター・ダーク」のマック版を,Mac OS 9に対応させない決定を下したことが報じられた(MacWIRE ONLINEの記事)。アフター・ダークは最新OSでなされた変更によって動作しなくなっていた。だが,アフター・ダークの日本販売総代理店であるインフィニシス社は,同製品の日本語版を,独自にアップデータなどで存続させる方針を発表した。
ウインドウズ版も発売されているアフター・ダーク。そちらではゲーム集の発売も発表された(Nikkei BP BizTech Newsの記事)。インフィニシス社はマック版も積極的に販売を続けていた。iMacに合わせた5色カラーでの発売など,いささか古びた印象のあるソフトに,プロモーションをうち,新規ユーザーを獲得しようとしていた。なのに,本家発売元のマック版撤廃宣言。10年の歴史を持ち,ある意味で,人々のパソコンに対する意識を大きく変えたソフトだから,いろいろな混乱がある。
一昔前には,焼き付きを防ぐという目的があったにしろ,見ているだけで楽しいソフト,というのは奇妙な印象があった。DOSやBASICの画面がまだ多かった中で,計算することも,文字を書くことも,遊ぶこともできない,ただ見ていればいいんだという意味のなさを語りかけてくるソフトは,革命だったのかもしれない。そしてそれが,パソコンに向かう気持ちに,変な嬉しさを感じさせていた。そんなソフトだから,ぜひこれからも,あり続けて欲しい。そう,フライングトースターに乗って,どこまでも…。
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